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citadel

別れ

今年2004年 6月7日。
野澤家の愛犬まりおが他界した。

5月に誕生日を迎えたばかりで12歳だった。

じん臓が悪かったらしぃ。

結構ゴミ漁ったり、盗み食いしたりしていたからかなと思う。

正直、まりおが死ぬ前というか、

入院する前の記憶があまりない。

まりおが入院した日が木曜日。

丁度その週に高体連があって、朝早く出て帰るのは7時~8時頃。

まりおを構う時間もなく体力もなかった。

だからすぐ寝てまた同じく朝早く出ての繰り返し。





2日の夜。

丁度寝ようとしてた時に母さんと父さんが

まりおの様子が変だという事に気づいた。

「何か息が荒い。」

正直その時私にはよくわからなかった。

いつものまりおにしか見えなかった。

次の日に病院に連れてくという事でその日は何も考えずに眠った。



次の日の朝になって昨日のまりおの事は

すっかり頭から離れ、普通に部活に向かった。

この日はずっと楽しみにしていたライヴがあって、

帰ったのは確か11時すぎ頃だった気がする。

台所に立って飲み物を飲んでいると、

まだ起きていた父さんから「まりおが入院した」と告げられた。

その時泪がぶわっっと出てきそうになったけど、

父さんの前だと何だか恥かしくて頑張って堪えた。

でも、私は何故父さんからまりおの事を聞くまで

まりおが家に居ないという事に気づかなかったのだろうか。

とりあえず2,3日点滴を打って、良くなれば退院。

何も変わらないようだったら危ないという事を聞いた。

すごくショックだった。

ショックだったはずなのに次の日の部活の打ち上げの時には

まりおの事は頭から離れていっていた気がする。

今思えば、あの時あの瞬間、まりおは一人で訳の分からない

見慣れない所で足に針を打たれ、

淋しくて苦しい想いをしていたんではないかと思う。

自分が情けなくなった。



次の日はお見舞いに行こうと思っていた。

けど、友達から"遊び"の誘いが入りそっちを優先してしまった。

その時は、明日行けばぃぃと軽い気持ちだった。

本当に信じられない。今でも自分が信じられない。

いつでも会える友達を優先し、

もしかしたらずっと会えなくなるかもしれない

大事な家族を後にしてしまったのだから。



次の日の6月6日。

母さんとお見舞いに行った。

『まりおに会える!!!』という気持ちで胸がいっぱいだった。

そして4日ぶりにまりおに会えた。

まだ4日しか経ってないのにすごい変わりようだった。

すごくショックだった。

こんなにも酷いものだとは思っていなかったから。

寝返りも打てないほど弱っていて、身体には傷があった。

息が荒く、身体はほんのり暖かく、足は冷たかった。

すごく苦しそうだった。

きっと息をするのもきつかったのだと思う。

母さんがしばらく抱いていて、それから私も抱いた。

軽かった。

頭は生まれたばかりの赤ちゃんのように

支えてあげないとたれてしまう状態だった。

よくみたらお尻辺りに糞が着いていた。

抱きづらいってゆーのもあったけど、

服にそれがつきそうだったのですぐまりおを診察台の上へ戻した。

それからずっと頭を撫でたりしていた。

まりおの顔に自分の顔を近づけて鼻をすり合わせたり、

キスをしたり泣きそうになりながらもずっと。

そしたらまりおが「くぅん。くぅん。」って小さく鳴いて、

それから大きく何かを訴えるかのように鳴いた。

ろくに身体も動かないのに。

出ない声振り絞って声を聴かせてくれた。

すごい嬉しかった。

それが最後になるなんて思ってなかった。

診察室を出るとき、私は辛くて後ろを向かずに出た。

後から母さんから聞いた話だと、

まりおはずっとこっちを見ていたらしい。

目なんかとっくのとうに見えてないはずなのに。

診察室から出て、店の中だって事にも構わず私は泣いた。

泣かずにはいられなかった。

涙が止まらなかった。

車の中でも泣いた。

家に帰ってからもずっと泣いた。

少しずつ泪は止まっていった。

前の日にお見舞いに行っていた父さんが、

今日の まりおの状態を聞き、弟を連れてまたお見舞いに行った。

それから帰って来て「もって3,4日、もしかしたら1日2日もたないかもし
れない」

と病院の先生から聞いたらしい。

それを聞いて折角止まった泪が、また流れ出てきた。

夜も思い出すたびに泣いた。

次の日は学校。

行く気分ではなかった。

目が腫れてたらどうしようと思ったけど、全然腫れていなかった。



いつも通りに学校へ行き、いつも通りに授業を受ける。

授業の先生の声なんか耳から通り過ぎていってたけど。

友達にはいつも通りに振舞ったつもり。

友達には朝に「うちの犬が死にそうだ」とは言った。

偶々その日は午前授業。

3時間目が終わって4時間目までの10分休みに兄ちゃんからメールが着た。

『まりおがヤバイ』

私は後一時間頑張れば帰れる!と思っていた。

勿論部活は休むつもりだった。

でもそんな事聞かされたら誰だって帰りたくなる。

私は兄ちゃんに問い詰めた。

聞いたところ、兄ちゃんがお見舞いに行った頃には

もぉ微かに心臓が動いてる状態だったらしい。

だから、「多分もぉ天国に行っちゃってると思うよ」って。

もぉその時点で堪えてた泪が溢れ出てきた。

友達に「帰りな!あと一時間しかないんだから!」って言われた。

けど私は、まりおなら大丈夫!!!とか訳のわからない事を考えていた。

だから残りの一時間、授業に出て、

部活はミーティングだけだったから話だけ聞いてすぐ帰った。

よく考えれば兄ちゃんが行った頃にはもぉ死にそうで、

それから少し経ってからだったから、

本当にメールをくれた時点でまりおは死んでたんだろうと思う。

授業中ずっと心の中で祈っていた。

まりお!お願いだから死なないで!!!死んだら許さないんだから!!

奈々が帰るまで頑張るんだよ!!!」って。

馬鹿だうちって思った。

あの時の私にはもぉそんな余裕はなかったんだと思う。

帰りの電車の中で座りながら兄ちゃんにメールを送った。

前のメールで「心臓だけ動いてた」ってとこが気になったから。

「まりおさぁ心臓だけ動いてたって目は瞑ってたの?」って。

そしたら「もぉ死んじゃったよ。今は家にいる」って帰って着た。

本当にこの時泣いてしまいたかった。

でもその時私が居た場所は電車の中。

泣けない。



地元の駅に着いて、いつも通りの道を通り家に着いた。

ドアの前で深呼吸。

意外にも冷静で『あぁ~大丈夫じゃん』って思った。

正直まりおが死んだっていう実感が無かったから。

でも、ドアを開けた瞬間に線香の香りが鼻に入ってきた。

この瞬間に逝ってしまったんだって。

それから鞄を部屋に置かずにそのまま居間へ向かった。

小さな箱の中にはまりおの姿があった。

周りには小さな花束2束。

ジャーキー。ペット用の牛乳。

まりお牛乳なんて飲まないのに。

父さんがソファーに座って居て「寝てるみたいだろ?」って言った。

本当に死んでるようには思えなかった。

ただ、思いたくなかっただけなのかもしれない。

いつもと同じ寝顔だった。

ただ違うのは心臓が動いてないってこと。

あんなに暖かかった体が冷たいってことだけ。

その姿を見た瞬間冷静を装っていた私の目から泪が滝のように溢れ出た。

頭を撫でるとすごく冷たかった。

まるで氷のように。

腐らないようにとドライアイス(?)が身体の下に敷かれていたから。

それからすぐに部屋に行き、泪を拭いてからまたまりおの元へ行った。

それから。泣き続けた。

少し二人になりたかったから、

カチンコチンのまりおを抱えて部屋に行った。

思いっきり泣いた。ただ声は殺して。

枕がびしょびしょになってた。

動かないまりおをずっと見つめた。

まりおの顔見たいのに泪が邪魔した。

いとこと親友と友達の3人にメールをして、まりおが死んだって事を伝えた。

みんなすごい暖かいメールをくれた。

すごい嬉しかった。

特にいとこのはすごい心にきた。その通りだなって思った。

今もそのメールを読むたびに泣けてくる。

私は人に写真を撮って貰うがあまり好きじゃなかったから、(特に家族)

まりおと二人での写真ってホント少ししかなかった。

だから最後に携帯で撮った。

その写メを友達に見せて「この時もぉ死んでるんだよ」って言ったら

必ず「えぇ~!!!」って驚く。

まりおは生きてるように、私は不細工な泣き顔で写っている。(笑)

もっと笑えばよかったかな?

やっと泪が止まった。

まりおを抱えて部屋から出た瞬間、弟が学校から帰って来た。

弟が不意に言った言葉。

「あれ?まりお退院したの???」って。

また泪出てきそうになった。

弟もショックだったろうな。

もっと言葉を選んで言えばよかった。

その時私が言った言葉は

「死んでるよ」

だったから。



ココまで読んでくれた方本当に有難う。
ちょっと長すぎるので分けたいと思います。
続きを読んでくれる方は「別れ2」へお願いします。







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